日本キリスト教団常陸大宮伝道所

幼子よ、お前はいと高き方の預言者と呼ばれる。主に先立って行き、その道を整え、主の民に罪の赦しによる救いを知らせるからである。これは我らの神の憐れみの心による。この憐れみによって、高い所からあけぼのの光が我らを訪れ、暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、我らの歩みを平和の道に導く。

             (ルカ福音書1:76-79)

 主イエスの先駆者としての洗礼者ヨハネ。その誕生の次第が記されています。このザカリアという人物にスポットをあててみましょう。彼が、ある意味、とても私たちの信仰の姿に似ているからです。

 彼は祭司として、清く正しい生活を送っておりました。クリスチャンとして生きている私たちにも反映されます。そして妻エリサベトとの生活は穏やかなものでした。ただ一つ不足していると思っていたのは、子どもがいないことでした。それを長年、祈り願っておりましたけれど、いつの間にか年を取ってしまいました。だからもぉ子どもについては「諦めた」という状態でした。自分の残りの生涯をつつがなく過ごし、もはや奇跡など起きないと思っていたはずです。ところがです。人生には上り坂、下り坂、があります。もう一つ「まさか」があるんですねぇ。その、まさかの出来事が起こりました。今回至聖所に入っていた時に、天使が現れました!

ザカリアは「恐怖の念に襲われた」のです。

 天使は言いました。「恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ。彼は主の御前に偉大な人になり、ぶどう酒や強い酒を飲まず、既に母の胎にいるときから聖霊に満たされていて、イスラエルの多くの子らをその神である主のもとに立ち帰らせる。」その誕生には喜びがあふれ、またその子の使命も告げられています。神様の救いのご計画に組み込まれているのです。

 そう。長年の祈りが聞き入れられました。しかし、天使に告げられた時、ザカリアは恐れました。私たちクリスチャンも、心にかかる課題があり、その為に祈りを積み重ねています。その祈りはなかば習慣化しています。

 しかし、祈りというのは私たちが「かないそうにないけれども、まずは祈っておこう」というのではないんですね。口から出るため息ではなく、聞いてくださる方がおられます。いつか思いがけない時に、思いがけない仕方で応えられるのです。その時祈った者自身が恐れるのです。

 神様はそのように私たちを圧倒することによって信仰を新たにしてくださいます。ザカリアは常識をもった者として「わたしは老人ですし、妻も年をとっています。」と反論します。主がなそうとする奇跡を信じなかったので「この事の起こる日まで話すことが出来なくなる。」と言われました。そしてその通りになり、ヨハネが誕生しました。主は奇しきかな。

 

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